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2006年4月19日 (水)

千住家の本

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今年に入って、「功名が辻」4巻を読むのに結構時間を取られたが、
その後は、通勤時間、出張の移動を利用して、いろいろな本を読んでいる。

先週末は風邪で声が出なくなったので、黙って本を読んでいた。

最近、「千住家の教育白書」と「千住家にストラディバリウスが来た日」を読んだ。
前者は2001年に出版され、田園都市線沿線の書店では平積みされ、よく売れていた本の文庫版。(千住家は横浜市青葉区在住。)後者は昨秋刊行された単行本。

まずは「「千住家の教育白書」
日本画家の千住博氏
(羽田空港第2旅客ターミナルの大作「滝のオーロラ」が 一番
 多くのヒトの目に触れている)
作曲家の千住明氏
(野島伸司氏脚本のほとんどのテレビドラマの音楽を担当)
バイオリニストの千住真理子さん
(12歳でN響とプロデビュー、日本音楽コンクールに最年少15歳で優勝し、天才少女と騒がれながらも音楽大学に行かずにプロとして国内外で活躍中)

3人の芸術家を育てた千住家のお話を母親の目を通して綴っている。
3人とも幼稚舎から慶応という恵まれた環境にあるので、一般的な家庭の教育白書ではないし、少なくともエリート芸術家を育てるためのノウハウを伝授してくれるのでも決してない。

しかし、英才教育なんてしなくとも、自身がやりたいことがあれば出来る範囲で限りなく最高を目指して背水の陣で臨むようにさせ、それを見守る親と支える家族の関係が、能力を開花させ、実現させていくことを物語っている。
信念、家族の愛、生きていく上での様々な艱難辛苦や歓び、体験を味わい、見て感じる風景そのものが子供の心の大きな財産になっていくとは確かだ。

それにしても「芸術」分野のプロで生きていく時、どの社会にもあるのだが、派閥や学閥、嫉妬などの凄さを乗り越えていく苦労は一般社会の比ではないはずなのに、そういう努力ではどうしようもないところはサラリと書いてある。
本当の大変さはそういうところに隠されているんだろうな、とも感じた。

ま、本の帯をポジティブに解釈すれば、それぞれの家庭ごとに子供を育てるために出来ることはは何かを考えさせてくれる本だと思う。

重松清氏の解説もいい。

そして「千住家にストラディバリウスが来た日」

バイオリニストの千住真理子さんが、スイスの大富豪が密かに所有し、300年近くも弾かれずにいた世界の名器「ストラディヴァリウス」、その名も「デュランティ」を手に入れるまでのドキュメントを母親の文子さん綴っている。

構成にちょっと凝りすぎて読みにくい部分があるものの、予想外の出来事の連続に推理小説のような展開になっている。たしかに本になるべくしてなったような、そう滅多にあることではない奇跡のような大事件である。その大事件に遭遇し、芸術家とはいかに厳しいものかと考えさせられ、「この事件で家族が成長していった」ことが、手に取るようにわかる。孤独と家族の対比みたいなこともこの本は語っているんではないかと。

しかし、あくまでバイオリニストとしての生活の大変さと、愛情に満ちた千住家の絆の話が中心であって、かなり強い思い込みで「運命に導かれてやってきたバイオリン」を語っているので、それが感動的でもあり、一方でドキュメントとしての事実を白知りたいヒトには物足りない。
少なくとも、「千住家の教育白書」を読んで千住家の背景を知った上で、この本を読まないと理解は深まらないし、多少なりとも楽器を所有することの価値や、楽器に対する「なんだか楽器が疲れてる」とかの独特の感覚を知っていると、結構入れこんで読むことが出来ます。
ただし、私の楽器とは3桁も違うんで、一般アマチュアとはやはり感覚も全然違うんですが。

行間が大きくて文字が大きいので通勤電車の中で片道2回で読めてしまいました。

ともあれ、デュランティの生の音を聴いてみたい!と思わせてしまう、という意味では、非常にうまいプロモーションに乗せられているような気分になった。

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