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2008年4月18日 (金)

銀塩写真の小さな試み

Dscf0729

どこにも案内が載っていない、小さな写真展をやっている。
東京のど真ん中、東京ミッドタウンのFUJIFILM SQUREの2階、
いつもお知らせなどが掲示してある ホワイエと呼ばれるところに
モノクロの写真が12点ほど シンプルに展示してある。
誰も気づかないかもしれない。

愛知県立芸術大学銀塩写真研究展
「闇とノイズに直感する」

2008年4月18日(金)〜4月24日(木)
11:00〜20:00(最終日は14:00まで)
富士フィルムフォトサロン/東京
フジフイルムスクエア 2F ホワイエ
入場無料

以前 業界団体のデザイン部門の集まりに参加していたとき
時々新しい取り組み、教育の現場を実感するために首都圏や地方の美大系デザイン系の大学を訪問していた。
学科長さんらに構内を案内していただくと、たいてい写場や暗室があったりした。
が、時代の流れで、取り壊す、いや必要だから残しておくべきだ、
と学内で議論されているという話も何度も聞いた。
Photoshopというソフトで画像を思うがままに加工できる今だからこそ
光と影をリアルにコントロールして表現する化学反応であること、
露出と時間の関係を覆い焼きなどを通して体験的に理解するには、
やはり暗室は必要だ、という意見は必ず年配の先生から熱心に語られる。

先月末で退職されたボスが、愛知県芸の学長さんからの同様の話を受け
引き受けたのが「銀塩写真研究」である。
学生が 富士フイルムの研修専門の会社で実施している新入社員向けの「実習を通じて学ぶ銀塩写真の基礎」を受講、写真とは何か、何故写るのか、という座学と実際に乳剤を仕込み、自分で塗布して写真フィルムを作る実習を体験した。
自作のフィルムで写真を撮り、自ら現像し、印画紙に定着させ、パネルにした写真の展覧会なのである。

だから、写真だけ見ても、なんだか眠い、ボヤッっとしていて
一見、どこかの高校の写真部の作品と何ら変わらないかもしれない。
実は、非常に思いのこもった限られたコマ数のフィルムで
何を撮って表現するのか、光と影について学生達はものすごく考えたに違いない。

実は、私もそういうプロジェクトをやっていることを知ってはいても
経緯や学生達の表情、思いは全くわからないままだった。

たまたま 通りかかって、今日からその作品が展示してあるのを知り
結果としての写真を見ただけなのだ。
午後から研究所に向かうためゆっくりとその前に佇むことはなかったが、
その後に乗った新幹線のなかで、学生達はどんな気持ちでこの研究に臨み
どういう意志をこめて作品を作ったのか、思いを馳せた。

この貴重な機会、価値を本当に理解できるのは、もっと後になってからなんだろう
が、今の気持ちを学生達に会って聴いてみたいと思った。

小さな試み、でもとても大切な直感を育んだ体験だったに違いない。

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コメント

>TQYさん
 
コメントありがとうございます。

メタファーがアフォーダンスを形成し、メンタルモデルが できあがっていくと思うのです。いきなり便利で効率的な体験から入ると、手から入った感覚を頭で考え、手に戻して微妙に調整するとう経路が形成されないんですよね。だからこそその調整できることバランス感覚を体験者が気がつかせてあげるコトも大事だと思うのです。

投稿: kojicozy | 2008年6月 8日 (日) 17時55分

こんにちは。

スタッフに業務用ビデオカメラの使い方を教えるとき、マニュアルの一眼レフを触ったことがある人間が一人もいなくて愕然としたのを思い出しました。


デジタル機器がアナログ機器のメタファーを模倣する限り、アナログの体験はたいへん貴重だと思います。

投稿: TQY | 2008年6月 8日 (日) 16時30分

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