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2008年5月 1日 (木)

上野の森の独仏

Dscf0854

平日の休日。
ゴールデンウイーク(NHKでは映画産業のキャンペーン用語だというので絶対に使わないそうです。ニュースでは相変わらず「大型連休」と言っている・・・。)で大混雑する前に、ぜひ見に行きたかった展覧会に出かけた。

ただし、私と妻の見たいものが違う。
私はバウハウス展、妻はパリの100年展。
同じ上野の森にある美術館なのでとりあえず、上野へ向う。
渋谷から上野まで、山手線では私は内回り、妻は外回りが早い、と互いに言い張る。
実はどちらも32分で同じだった。引き分け。
往路は品川経由、復路は池袋経由と いずれも内回りに乗って結局1周した。

上野駅前で「今日は労働者が一致団結する日です、ぜひ署名を!」と叫ぶ姿に
ああ、今日はメーデーだったのね、とあらためて思うが
行き交う多くの人は通り過ぎ、大道芸の音楽に導かれるように上野の森に向っていた

公園入り口の案内所でそれぞれの当日券を買う。
先日NHKスペシャルで放送された東京国立博物館の「日光・月光菩薩」は
既に20分待ちの行列だと前の人に案内していた。

新緑の木陰が気持ちいい陽気の中
妻は東京都美術館へ、私は更のその奥の芸大の美術館へと歩を進めた。

バウハウス・デッサウ展
2008年4月26日(土)〜2008年7月21日(祝・月)
10:00〜17:00(月曜 休館)
東京藝術大学大学美術館(東京・上野公園)
一般1,400円 高校・大学生1,200円 中学生以下 無料

チラシには WHAT IS BAUHAUS? という文字が大きく踊っている。
そうかあ、今時の美大生やデザインを学ぶ学生は
「バウハウス」を知らない世代なのかもしれない。
ブラウンのチーフデザイナーだったディーター・ラムスが提唱した
私の大好きな「デザインの10原則」も知らない若いデザイナーが最近多いような・・・。

今回の展覧会は、絵画、ドローイング、基礎教育の習作や資料、写真をはじめ、家具、食器、照明、実験オブジェといったモノの展示はもちろん、実験映像の上映や、創設者であるヴァルター・グロピウスが 設計したデッサウ校の校長室の1分の1の再現など、非常に立体的に俯瞰、体験できる構成になっている。

この展覧会の横文字のタイトルが 
BAUHAUS experience,dessau 
となっていることがうなづける展示だ。

順路は地下1階からで、そのお向かいに「芸大コレクション展」が開催されている。
3階に上がるエレベータの前で、コレクション展もどうぞと案内されるが、
私としてはまず3階に上がって、バウハウス展を全部見てから、
再び地下1階に降りてきて、「芸大コレクション展」もそれから見ることをお薦めする。
関連企画として特集展示「東京美術学校とバウハウス」があり、日本から唯一バウハウスに留学した水谷武彦と山脇巌らの東京美術学校図案科(現:デザイン科、建築科)の卒業制作など当時の作品からバウハウスの日本への影響を見ることもできるからだ。

実は 3階の基礎教育の展示を見ていて、自分が大学で受けたデザインの基礎教育がこのバウハウスを背景にしたプログラムだったこと、近代デザインの方法論に色濃く影響を残した足跡をあらためて確認できてしまったのだった。

人間によって作り出されたあらゆるモノには造形性が宿る、という必然から、
デザインとは何らかの感性をそのものの形に反映するという行為だとすれば、
そこに機能と合理性による論理的な説明で
工業生産に対応できるデザイナー教育を目指していたことが読み取れる。
では、今の社会に必要とされている多様性について我々はどう対応していくのかを
ここから再検証できるのではないかとも思った。

1923年のバウハウス展覧会のスローガンは「芸術と技術 - 新しい統一」だった。
先端技術と芸術の統一を目指した、と簡単に一言では言い切れない芸術運動体なのだろうが、少なくとも「合理性」を試みるその実験の背景には常に「人」がいて、その調和と秩序を目指していたことも確かであり、この展覧会ではそういったことも実感できると言っても過言ではないと思う。

1933年の閉校以来75年を経た今なおバウハウスがデザインや建築に大きな影響を与え続けている理由をあらためて認識し、今必要なことは何かを考えるよい機会になると思う。

デザインを学ぶ学生さんは必見、現役のデザイナー、教育者の方々もぜひ足を運んで この空気に触れてみてはいかがだろう。

新しい気づきも必ずあります。

外の喧噪とは裏腹に、結構空いていてゆっくり見ることができます。

ランチを美術館に併設されている学食で食べようと思ったが、学生さんで満席。
そう,今日は平日なので授業があるんですね。
みんな生き生きしていて楽しそうだし、
美術学部と音楽学部の学生の違いが一目で分かるのも面白かった。(私の勝手な判断だけど)

妻と連絡を取り合い、東京都美術館のミュージアムショップで合流、そこの2階のレストランでランチをとった。そこのお客さんで、多分私たちは最年少ではないか、というくらい年配の方々でほぼ満席の状態だった。美術館と展覧会のコンセプトでこれほどまでに見事に来場者が異なるのか、とそのコントラストも興味深いものがあった。

展覧会のダブルヘッッダーはお腹を壊しそうなので、私と妻はそこで互いに見たものを情報交換して上野の森を後にした。パンダの冥福を祈って。

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