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2008年8月 7日 (木)

イサムノグチ庭園美術館

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旅の4日目は、瀬戸大橋を渡り、四国に入った。
目指すはイサムノグチ庭園美術館である。
ここの見学は、火・木・土曜日の10時13時15時からと曜日と時間が決まっており、なおかつ往復はがきで事前に予約をしなければならない。料金は大人2100円でガイドツアーによる約1時間の見学である。興味、関心のない人、ふらりと思い立ったからというヒトにはハードルが高い。観光案内やガイドブックにも載っていないので、知るヒトぞ知る、イサムノグチ詣での聖地のようなところである。

国内でイサム・ノグチの彫刻を見ることができる場所はここ以外には、2002年のグドデザイン大賞を受賞した札幌の郊外にあるモエレ沼公園がある。札幌出張の折に、当時のボスと二人でタクシーを飛ばしてその壮大なスケールを味わった覚えがある。
2005年秋には東京都現代美術館で大規模なイサムノグチ展が開催されたり、その翌年には横浜市美術館でもイサムノグチ展があったので、記憶にあるヒトも少なからずいるだろう。
私はその二つとも行き損ねているのだが。

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ここイサムノグチ庭園美術館は非常にわかりにくく不便な場所に位置する。なぜなら、美術館としての建物ではないからだ。まさにイサムノグチの創作の現場だからである。高松から牟礼の町に入ると石材店が軒を連ねる。石屋さんの続く細い道を抜けると集合場所の建物にたどり着く。虫除け、日よけの麦わら帽子などもも用意されている。30分ほどビデオ鑑賞しているとほどなく出発時間になる。今日の見学者は20人くらい。美術館の人の説明を聞き、後についてきれいに竹箒で掃き清められた道を歩く と美術館にたどりつく。

美術館といっても、イサムノグチ自身が1969年からこの地にアトリエと住居を構え、1988年12月30日にニューヨークで没するまでの20年間、ニューヨークのアトリエと行き来しながら創作活動をした場である。この場所には主に春と秋、季節の良い時期だけ滞在していたそうだ。

まず案内されるのは作業蔵と、作りかけの彫刻、完成した彫刻がイサムノグチの意思で配置された庭である。整理された道具が並べてある蔵や彫刻の周囲を歩いているとふと横からイサム・ノグチが今でも歩いてでてきそうな雰囲気なのである。圧巻は代表作であるエナジーボイドを納めるために愛媛から移築したという展示蔵だ。通り抜ける涼しい風に吹かれながらいつまでもエネルギー溢れる彼の作品に触れていたい気持ちになる。その後、彼が暮らした「母屋」、母屋の奥にある「彫刻庭園」を見学する。母屋の中には入れないが、イサムノグチが暮らした当時の姿のまま保存されている玄関や格子戸からお庭や室内をのぞいて鑑賞する。 解体される予定であった古い日本家屋を移築し、彼自身が暮らしやすいように畳と床の高さを調整するなど改装された居住スペースには、彫刻作品やAKARIが置かれて、高い精神性が伝わってくるようであった。

母屋の裏山にあった段々畑に盛り土をして創作した「彫刻庭園」は.花見や月見をしたプライベートな公園だったそうだ。小山を登ると牟礼の街、瀬戸内の海が見渡せた。娘と二人で水筒からお茶を飲んで一息つく。(飲食は禁止だが、暑いので水分補給は推奨していた)

音楽を演奏するとき、楽譜から音を作り上げる再現芸術ということを意識せざるを得ないことがある。そのときは、作曲家の意識を生き様や時代背景などから推察するアナリーゼをしたりする。アートは再現芸術ではないが、作者が生前、どんな環境で創作活動をしていたのか知ることは、その作品群を鑑賞する際、大きな手がかりになることは確かだ。

そのときその人が何を考え、何を目指していたのか。
そうすることで、今度は自分自身が何をすべきなのか、考えるきかっけにもなる。

美術館手前の山椒山公園にはイサム・ノグチがデザインしたプレイスカラプチャーとシーソーの遊具が2点設置されていた。遊んでいたのは 先ほど一緒に見学していたカップルだったりするのだが、イサムノグチは日常生活の中にアートを持ち込むエレメントとして数多くの遊具も創作している。横浜のこどもの国やモエレ沼公園に行くと、子供達の遊ぶ姿から既成の概念ではない形の面白さに気づかされる。

イサムノグチの作品からはいつも多くのメッセージが発信されていると思う。

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