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2009年6月25日 (木)

デザイン思考の仕事術

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今日(もう昨日)、日本実業出版社から小包が届いていた。
棚橋さんから著書「ひらめきを計画的に生み出す デザイン思考の仕事術」を献本いただいたのでした。
6月29日の月曜日から書店にならぶそうです。

早速 帰りの電車の中から一気に読みました。
「はじめに」から 棚橋ワールドが満開で、魅力的な映画の冒頭を見ているかのような展開に魅き込まれてしまった。まさに「なぜ」という好奇心をそそりながら、わかりやすくその意味を解きほぐしていくプロットはさすがです。

ちょうどこういう本を待っていました、というタイミングです。
自分自身の行動や思考を確かめ、整理し、客観的に振り返る意味でも有効でした。
この本の目的でもある、デザイナーだけではなく、一緒に仕事をしている、そしてこれから一緒に仕事をする商品企画者や研究開発者に早速明日から薦めていくことにします。

タイトルは「仕事術」となっていて、ビジネスのあらゆる場面で生かすことの出来る術の要素と意味が端的に整理されているのですが、実はこれを実践すること自体、自分自身の気づきを増やし、周囲とともに成長を実感できる、人生の楽しみ方の指南書だと思えたのでした。

演繹法、帰納法からの筋の通った合理的な正論だけでは、より複雑で多様化した社会では解決したり、価値を生み出せない今こそ、発想法が頼りにされる時代です。
手っ取り早く手法だけいくら勉強したところで、すぐには役に立たない。
そういうことに陥らないために 感覚を磨くことが大事なのである。

学生さんや社会人になって間もない人の心得としても役に立つし、長く社会人をやっている大人には「日常の物事への接し方を自分自身でいろいろ変えてみる」ことの大切さをあらためて気づかせてくれる。

本を読んだら行動しましょう。

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2009年6月23日 (火)

コダクローム生産終了

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唯一の外式リバーサルフィルム コダクロームが生産を終了し、74年の歴史に終止符を打つという記事を今日の夕刊で読んだ。そうなんだあ。

私にとってのコダクロームと言えば学生時代の記憶が蘇る。

70年代は格安航空券なんて言葉も一般的じゃない頃 まだソ連もベルリンの壁もあった時代に、ヨーロッパへの最短かつ格安だったのはモスクワ経由のアエロフロートだった。
1981年3月、私ははじめての海外旅行で開港まもない成田から留学中の先輩を頼りにドイツ、オーストリアを 3週間程一人旅したことがある。

その時は学生なので当然貧乏で 、父から譲ってもらったPENTAX SPに フジクローム36枚取り10本を持っていった。 そしてとっておきの場所用に1本だけコダクロームを持っていった。
ユーレイルパスを使って 宿泊代を浮かすために夜行列車で移動し早朝のウィーンに到着。 ほとんど人気のないシュテファン大聖堂をコダクロームでカメラに収めた瞬間は 今でも鮮烈に記憶に蘇る。

上の画像はその時に撮影したカールスプラッツのブラームス像。
翌年の大学4年の冬のオケの定期演奏会のメインがブラームスの交響曲第4番であったので、プログラムの曲目解説の横にこの写真が載った。モノクロだったけど。貴重な生写真、資料でもあったのです。

社会人になって、そして家族が増えてからも 1年に1本程度はリバーサルで撮っていたのだがほとんどがフジクロームだった。しかし、もう10年以上とっていないような気がする。

私にとってのコダクロームは80年代の明らかに思い入れが深い1コマ1コマであった。

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2009年6月21日 (日)

先を行くベルリンフィル

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ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の第1コンサートマスターに樫本大進氏が内定し、
9月からの試用期間を経て、団員の3分の2の賛同を得て正式就任となる、という新聞記事を読んで、朝から「へ〜〜〜っ!と驚いた。著名なコンンクールで数々優勝し、世界的にもソリストとして十分な活躍をしている人があえてオケマンに就任という意味と、日本人でありながら生まれも育ちも欧米という環境で育まれた感性を持った逸材を採用したという意味で。

昨年12月に渋谷のユーロスペースで見た「ベルリン・フィル 最高のハーモニーを求めて
という映画の中でまさにこの試用期間の団員の表情を追っていた。相当の試練だ。
見事に団員の賛同を得て、素晴らしい活躍を期待したいものだ。

今年に入ってベルリンフィルは 、インターネットで年間約30回の定期演奏会を全世界に向けてで生中継で配信する新事業をドイツ銀行の支援ではじめ、注目されている。

その名も Digital Concert Hall

ベルリンフィルのサイトで紹介されているこのプロモーション映像がまたハイクオリティでカッコいい。
 
「シーズン券」は149ユーロ(約20000円)。「1回」だけは9.9ユーロ(約1300円)。
いわゆるコンサートをいつでもどこでも何度でも視聴できる、オンデマンドだ。
すでに利用している若いクラシックファンの間では 樫本氏が何度も定期演奏会にコンサートマスターとして登場しているのを見て ほぼ決定だろうと話題になっていたそうだ。

これでベルリンフィル信奉者の多い 日本の視聴者(契約者)を一気に増やそうという狙いもあるのかな。
少なくともコンサートの映像っていうのは、スコアを追いながら聴きたい人や奏者のあうんを味わいたい人、ボウイングやポジションの参考など楽器を勉強している人には格別だ。
コンサバティブなテレビのサイクルに合わせた生活なんてのは、もう本当に少数派になって行くんだなあ と実感。

いずれにせよ、クラシックの世界で常に新しい時代を自ら切り拓いて行こうという団員達の誇りとチャレンジングな姿勢に畏敬の念を禁じ得ない。

ウィーンフィルとのコントラストも明確に、自分たちが人々を幸せにすう術を知るスーパーオーケストラのスーパーオーケストラたる所以である。

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2009年6月20日 (土)

Les Mecaniques Savantes(博識な機械)

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「Le Machine(ラ・マシン)」は、フランス・ナント市を拠点にする、人間や生物をモチーフにした動く巨大オブジェの製作や演出をするグループだ。

Les Mécaniques Savants(博識な機械)と呼ぶ巨大蜘蛛型マシンは、 2008年9月にイギリス・リバプールで1号機"Princess" が発表され、今回 Y+150のためにあらたに製作された2号機"lady"とともにプレイベントで来日を果たした。

4月18日の上陸と19日に日本大通りを2台で歩くパフォーマンスには60万人以上が集まったと新聞に載っていた。

現在、横浜開国博の「はじめての森」会場でパフォーマンスを見せてくれているのは2号機の"lady"らしい。

実物の迫力は想像以上だったが、その人工的な造形物としての美しさは形容がしがたいものだった。独創性、芸術性、機能性、そして人間と機会の融合。

静止しているときのディティールも魅力的なのだが、動いているときの複合的な有機性は嘗て経験したことの無いものだ。

追っかけも登場する程のその魅力はうなづける。

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日本人7人のパイロットが観客の拍手に迎えられて登場。

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最大に大きくなるとこんな感じ。高さ12mといわれるが、かなりの迫力だ。

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足の裏が真上に来たり(頂上のパイロットが覗き込んでこっち狙ってます(^^;)

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脚が目の前に振り下ろされると、ウルトラQ(ふる〜〜)や二十世紀少年の映画の中にいる気分。撮った画像も特撮か映画の一コマのように迫力があって様になる。が、コンパクトデジカメでふつうに撮っただけ。

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行く手を開けろと言わんばかりに放水を狙い撃ちされる。パイロットの目線が明らかにこっち向いている・・。このあとカメラをかばいながら後ろ向きに後退・・。隣で一眼レフを構えていた女性もかなりやられていたなあ。

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お、真下に入っている・・。

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小柄な女性パイロットが頂上でこの巨大なメカを操縦しているという様が、演出効果も抜群だ。

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実は 下のセンターの男性がキャプテンで総指揮をしているらしい。

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ディティールを観察してみると、なんと蜘蛛の甲殻部分は実は木材なのである。

乾燥のためか、ひび割れを発見して解った。

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おしりの部分も木材を集成し、削って造形したようだ。

FRPのようなプラスティックを想像していたが、木材という素材、荒削りな造形美がこの迫力を生み出していると判明。

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支柱や、全体を支えるクレーン部の主柱などにも実は機能性だけでなく細やかな装飾があったり、パイロット席の椅子のデザインとっても、かなりディティールは計算されているようだ。

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目玉は何の役割を果たしているのだろう。木材でできた脚のカバーも左右はビスで停めてあるが、位置決めのところはかんぬきのようにして停めてあって興味深い。

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エントランスを入って右側のコーナーに 「Le Machine」のこれまでに制作された作品やパフォーマンスの様子を紹介したコーナーがある。(気がつかない人も多いようだ)

ここに 像やキリンなどのスケッチも展示してあるので必見です。

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Y+150

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横浜の開国博 Y+150 に行ってきた。
前売り券を買っていたので、暑くなりすぎず、混みすぎずというこの時期に。
入場料の割に見るべきものが・・・、とかいろいろな影響が重なって観客動員数も予定を大幅に下回っているなど前評判もあまり芳しくないようだ。
一番の目的は、フランスのアートパフォーマンス集団「ラ・マシン」のスペクタクルを間近に見ること。

馬車道駅を降りて、最初に「はじまりの森」へ。ここの建築は、横浜に拠点を置く建築集団「みかんぐみ」によるものだ。期間限定の仮建設と低コストという条件の中で、パイプをクロスさせながら逆円錐形で構成された構造体とその配置は白で統一され、既存の樹木の形状とのリズムも軽やかに、見事に森というイメージのエントランス機能を演出していた。

11時10分前にエントランスをくぐると、広場の向こうに蜘蛛が佇んでいるのが見える。

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スタッフが立っていて、もう真っすぐそれ以上には進めないのでそこで待つことにしたら、「ここでご覧いただくと、水に濡れることになります。また 正面ゲートまで後退しながら観覧いただくことになりますのでご協力ください。」とのこと。偶然だったけど入ってたまたま立ち止まった場所で、びしょぬれになりながらパフォーマンスを堪能できた。

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1回20分のパフォーマンスが2時間おきに1日5回ある。初回の11時からは一番奥の待機場所からエントランスゲートまで移動距離が大きいようだ。正面で鑑賞すると、起動から蜘蛛の真下に入り込んで見上げる状態、そして少し下がった中央で佇むところまで変化に富んだ観察が出来るのでオススメです。

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ミストによる気化熱で気温の上昇を抑えた「黒船レストラン」で、以前テレビで紹介されていたお目当ての「牛鍋開花うどん」をランチにいただく。こういう場所での食事にしてはお得感がある。

徒歩で向かいのトゥモローパークへ。以前 1日1500円の駐車場だったところだ。

ここで、岩井俊二氏プロデュース、脚本X北村龍平監督の「BATON」エピソード2を見る。
3部作の真ん中だけ見せられてもなあ。待ち時間はほとんどなく20分の映像といえどもエンディングロールと予告編が2割くらいあるし。一部を見た人の感想も結構厳しい。
会期中に入場券を3回買って見に来るリピータさんより、ファンなら後日発売されるであろうDVDを買うでしょうねえ。

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さらに奥にある昨年は横浜トリエンナーレ会場だった新港ピアに移動。
本社が横浜に里帰りする日産のパビリオンなのであるが、立ち見のハイビジョンシアターにほとんど動かないPIVO2くんにエンターテイメント性は期待しちゃあいけない。最後のコーナーで「思いやり」を言葉に託すというコンテンツで自ら参加意識を高揚させるくらいしかありません。

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外に出ると黒船体験ツアーの船が。朝10時からY150トゥモローパークインフォメーションで配布される整理券を持っていると乗船できるのだそうだ。入場券があれば誰でも乗船できる訳ではないので、こういうことは事前に調べていくといい。

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随分歩いて疲れたので赤レンガ倉庫でちょっと休憩。ちょうど横浜フランス月間でもあるので、ガレットを食べながらビールをいただく。ビールはもちろん地元横浜のキリン。懐かしのハートランドビールで。

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さらに歩いて、6月2日にオープンしたばかりの「像の鼻パーク」へ。

ちょうど大桟橋に「にっぽん丸」が入港、着岸したところだった。ここは1854年5月31日にペリーが二度目の来日で初めて横浜に上陸したまさにその地であり、1859 年に日米修好通商条約が締結されて以降、横浜で最初の本格的な波止場となった象徴的な場所だ。

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パークの一画にアート作品の展示や音楽・ダンス・演劇といったパフォーマンスを行う多目的スペースとして「象の鼻テラス」がオープンしていたので覗いてみた。設計は小泉アトリエ、「象の鼻カフェ」を含めた運営は表参道にあるスパイラルで実績のあるワコールアートセンターが担っているのだそうだ。ゾウノハナソフトがかわいい。

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なんと、カフェの椅子とテーブルは本物のアルヴァー・アールトのスツールなのだ!そこにフィンランドの画家カティア・トゥキアイネンさんと緑区の小学生のワークショップで造った物語の絵を描いたパネルをくり抜いて座面に貼ったのだそうだ。

カフェの制服はファッションデザイナーの皆川明さん(ミナ ペルホネン)が手掛け、メニューはフードクリエイティブ・チーム「eatrip(イートリッ プ)」と鎌倉中央食品市場内にあるカフェ「パラダイスアレイ」が参画するなど、結構 横浜市としても力が入っている。秋以降にいくつものイベントが予定されていて、ちょっと楽しい場所になりそうだ。

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おしまいに 「くじらのせなか」から 横浜の港を一望してY+150を締めてみた。

入場料の割には・・という巷の評判もうなずける。

けど、ラ・マシンのパフォーマンスだけは、今までにない体験ですのでぜひ一度。

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2009年6月16日 (火)

Design The Happiness

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先週の水曜日の夜は INFO GRAPHICS NIGHT Vol.1 を聴きに
向ヶ丘遊園駅前にある専修大学のサテライトキャンパスに来ていた。

今日は、自分が学生さんに話すためにまた向ヶ丘遊園にやってきた。
一個人のデザインに対する想いや姿勢を語ることで
1年生のこれからの学びや進む方向のヒントになるようにということで。

今までにもいくつかの大学で1コマだけの特別講義をやらせていただいたことはあるが
いずれもデザイン系であり、仕事として企業での具体的な仕事のプロセスや成果を紹介することが主だった。
今回はHowでもなく、具体的な商品のプロセスでもなく、何のためにというWhat を話すことにした。
「情報と社会」という科目で、自らが進む方向性を定めて行く基礎作りを目的とした授業なので、わかりやすく噛み砕いて、そして私個人の想いを伝えて欲しい、ということだった。

で、考えたテーマが表題の「Design The happiness 幸せをデザインしよう」
これで、自分自身の生き様と「教える=気づかせる」「学ぶ=気づく」「実践する=気づきを確かめる」「結果を出す=共感する」というサイクルを人の上下関係なしに、そして目の前の期待に応えながらドンドンまわして行こう、という話を具体例をまじえながらまとめたつもり。

おかげで随分と自分自身わかっているようで曖昧になっていたことを整理する機会となった。先日の木村さんの講演の際、私が質問した「わかりやすい、ということは相手がわかったつもりになってしまわないか?本来のわかりやすくすることは、気づかせてあげて、さらにそこから探求する気持ちが育まれることで新しいことが生まれるのでは?そのための解りやすさのさじ加減はありますか?」の意味は、まさに今日のための自問自答だったのだ。

結果的に4年生からのナイスな質問や、終了後に個別に質問してくれた1年生のとってもシンプルな質問を受け応えしていて、実はとても嬉しくなった。
なんとなく 伝わった気がしてきたから。でもやっぱり1年生には難かしい、というか実感わかなかったかなあ。

教えるということはやはり学ぶということ、多くの気づきがあった。
このような貴重な機会をありがとうございました。

それにしても300人相手の講義は大汗です。コンサートだって300人のホールを満席にするって大変だし、満席になったらなったでとても緊張するし・・。今日は徐々に席が埋まって(空席や後ろに座らないように指定席にしてあるんだそうです)、ザワザワの大きさが増すにつれ、久々に最初だけ緊張したなあ。カラーユニバーサルデザインにも配慮しながら作ったパワポ100ページ(1ページにキーワードだけなので)、練習なしのぶっつけで、早口にならないよう気をつけながらもなんとかギリで60分強に収まった。まあ、話すことを整理するラピットのような役割で、少し寝かせては何回か削り直したけど。アサノ先生のおっしゃるタイムマネージメントを実践してみました。

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2009年6月15日 (月)

あと4ヶ月

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隈研吾設計による立て替えで今年の秋に全面リニューアルオープンを目指している根津美術館。今年に入って外囲いが外れ、建物の全貌が外からも解るようになってきた。建物そのものは3月に竣工したそうで、今は秋に向けて内部の展示整備が進んでいるらしい。

植栽が次々と運ばれ、外溝も着々と整備されている様子。都会のオアシスの復活も間近だ。

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以前はお屋敷のような瓦を積んだ土壁が周囲を囲んでいたが、それも取り壊されて 見通しのよい竹林が登場していた。大屋根と鉄板の壁で構成された重厚な建物を囲む軽やかな竹林の縦列は、このあたりの印象を一気に替えている。

以前から入り口にあったシンボル的な桜の巨木も元あった場所の近くに移植が済んだようだ。が、かなり弱々しい印象。来年の春にはまた見事な花を咲かせてくれるのだろうか。

私にとって根津美術館といえば、国宝 尾形光琳筆「燕子花図」である。

初めて対面したときには言葉が出ない程の迫力に圧倒された。時代を超越したコンテンポラリーアートだと思う。

毎年、燕子花の美しく咲く頃に合わせた5月のGWを挟んだ時期に公開されるのが恒例で、以来会期初めのお昼休みに毎年訪れ、しばしの至福の時間を過ごしてきた。

それが2001年から修復に入り、2005年の秋に4年ぶりに特別展で公開され、さらに恒例の2006年の4月に展示された後、美術館そのものが3年半の長期休館となってしまった。2005年秋と2006年春の公開は貴重な機会だった訳だ。

いよいよ整備の進む敷地を見ながらの通勤、あと半年でまたご対面できるかと思うと、待ち遠しい。

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2009年6月14日 (日)

ガクアジサイ

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紫陽花(アジサイ)っていうのは不思議な花だなあ。

画像のアジサイは、ガクアジサイの花の部分。
正面からじゃなくて、ちょっと横から写しただけで不思議世界に突入だ!
リフレーミングの実践です。

ガクアジサイは、関東地方の海岸に自生していた日本原産の植物。
万葉集の時代から梅雨の風景には欠かせない存在な訳だ。

その土地が酸性かアルカリ性かで咲く花(正確には装飾花)の色が変わるらしいが、そう単純ではなく、地中のアルミニウム量やら補助色素やら、開花からの日数などの微妙な環境要因の組み合わせの結果で七変化するのだそうだ。

よく目にする球状に花が密集したいかにもアジサイらしいアジサイは、セイヨウアジサイでほとんどガクの変化した装飾花の姿だ。
明治以降にイギリスの園芸家が日本の青いアジサイを持ち帰って、アルカリ性土壌の欧州で華やかな赤系などに改良し、逆輸入されたのだそうだ。

集合体を俯瞰しての鑑賞もいいけれど、一歩近寄ってひとつひとつの個性を観察してみると、普段気がつかなかったまた面白い発見があるのですよ。

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2009年6月11日 (木)

INFO GRAPHICS NIGHT Vol.1

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昨夜は INFO GRAPHICS NIGHT Vol.1 を聴講した。

講師の木村さんは 長野冬季オリンピックの公式ガイドブックのMapをはじめ
記念切手などのイラストまでを担当したり、今やSND(ニュースデザイン協会)の国際審査員を務めるなどインフォメーショングラフィックス界の第一人者だ。
お互いにブログを通じて知っているようで、実はちゃんとお話を聴かせていただいたのは初めて。
とにかく失敗を怖れず、一歩前に出て行く行動力と、経験と実績に裏打ちされた示唆に富んだお話は説得力がある。

しかし、木村さんのお仕事の主要な場であったメディアとしての新聞が斜陽であることは、紛れも無い事実。
毎朝新聞を読んでいる人は?という呼びかけに学生さんを中心に会場にいた60人のうち手を挙げた人はパラパラ・・。お家で新聞をとっている人は?という問いで半数以上が手を挙げたものの、新しいメディアの登場に今や新聞の価値、位置づけは大きな変化に直面している。そういうなかでインフォメーショングラフィックスは今後 どのような場で進化していくのだろうか、一緒に考えて行きましょうという投げかけをいただいたのだと思う。

また、海外ではインフォメーショングラフィックスは重要なデザイン分野として認識されているのに日本では非常にポジションが小さいという話も興味深かった。
勝手に 表音文字文化の欧米ではイメージを補い、定義するためにはグラフィックは重要だが、言葉が豊かで表意文字文化の日本では、文章の行間からイメージできる感性が豊かで、それがインフォメーショングラフィックスをそれほど必要としなかったのでは、なんて言う自説を考えてしまった。

今度 木村さんとじっくりまたお話してみたいものだと思った。

会場には、主催のコミュニケーションデザイン研究会の秘蔵本コレクションの展示があって、これまた興味津々。お宝を手に取ってみると、ちょっと蔵の中のカビのいい匂い(笑)が鼻と好奇心をくすぐってくれたのでした。

Vol.2が楽しみだ。

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2009年6月 7日 (日)

Less but better

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純粋なる形象 ディーター・ラムスの時代―機能主義デザイン再考

府中市美術館
2009年5月23日(土)〜7月20日(月/祝日)
開館時間:10:00 - 17:00(入場は16:30まで)

月曜日休館
入場料:一般800円、高校生・大学生400円、小学生・中学生200円
主催:府中市美術館、日本経済新聞社

ファインアート中心のいわゆる美術館で企画、開催されたデザイン展である。

府中美術館のコンセプトは「生活と美術=美と結びついた暮らしを見直す美術館」とある。2000年にオープンし、過去にリートフェルト展などの好企画をやっているらしい。なので、今回の企画展は「使い手の立場に立ったデザイン」という素材と機能の本質を追求した仕事を振り返り、モダンデザインの理念を自分たちの生活と美術を見直すきっかけとすることで、美術館のミッションに適っているのだそうだ。

大阪のサントリーミュージアム[天保山]で昨年この企画展が開催されていたのは知っていたが、さすがに出かける余裕も無く、東京への巡回展はありがたい。

この展覧会に先立ち、5月23日に武蔵野美術大学で開催されたシンポジウムはディーター・ラムス氏自身が登壇し、盛況かつ示唆に富んだものだったらしいことが、あちこちのブログから伺い知れた。

東京でBRAUN展が開催されたのは2005 年の9月から10月にかけての約1ヶ月、AXISギャラリーだった。その時は「ブラウン展ー形を超えたデザイン」というタイトルで、夜19時まで開場していたので会社の帰りに寄り、ワンフロアで結構充実している展示に見入った記憶がある。76ページのパンフレットを今でもデザインの10原則をはじめ、デザインの何たるかを振り返るために手に取ることがある。

今回、府中美術館というロケーションと開館時間の制約条件から平日に訪れることは難しいので、日曜に車で訪ね、一人でじっくり見ることにした。最寄りの駅からは20分近く歩いて、府中の森公園の中を通り抜けたところにある。夏を思わせる今日のお天気に、公園の中は水遊びに興じる子供達の歓声がとても愉しそうに響いていた。車による来場者には公園の一番奥に60台の無料駐車場があり、そこから数分の場所に美術館は位置している。今日はG1レースが競馬場であるので、午前中の空いている時間に移動、道路が混雑するお昼過ぎには府中を退散した。

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展示は、AXISの時とは比較にならないほど充実し、かなりの物量であった。
最初のコーナーでデザイ ンの流れを年代によって俯瞰できるようになっていて、デザインの初心者にも視覚的に分かり易く理解が進むよう工夫がされている。
その後はディーター・ラムスを軸に、BRAUNのデザインを巡って行く構成になっている。

展示されているデザインは量産製品なので、一部はアクリルケースに納められているものの、多くはグルリと眺め回ることができ、外観の部品構成から微細なディティール、繊細な表示に至るまで、じっくりと観察できる。

機能的、素材的にも当時としては画期的な提案であったはずで、50年を経て今でもまったく古い新しいを超えた普遍的なデザインであることは、いかに合理性を追求し、社会的な理想を目指したかをそのもの自身が雄弁に語っていた。

最後にディーター・ラムスが1962年にデザインし、現在でも生産されている620 Chair Programmeというソファに座りながら、Who is Mr.Braun?(ミスターブラウンとは誰か?)というDVDを約1時間見た。本人のインタビューから、結果に至るまで、いかに自身や企業内部でのマーケット部門、技術部門との対峙、葛藤が凄まじかったが伺い知れる。常に彼らは「増やす」ことを要求し、ラムス氏は「減らす」ことで「より良く」という彼自身の哲学を貫くにはいかに強靭あな精神力が必要だったか。戦いの中で、アイデアが実現にまで至ったのは5%にしか過ぎないと。

このDVDには、ディーター・ラムス氏の私生活も紹介されていた。欠点だらけの自身は、いつも成長して生きたいと考えているし、強い意志を作るには、よい私生活が大事であると彼は語る。理解と包容力のある良きパートナーが必要だと。そして映像で紹介された個人邸の庭は明らかに日本庭園だった。盆栽も映っていた。

DVDの中で 日本ではディーター・ラムス氏が神格化されていると語る人もいたが、彼がモジュールや可動性の提案において、日本の用と美に共感していたのだろうという推察も容易だ。そして重要なのは日本のデザイン界が彼に共感し、影響され、学んだ工業製品と工業デザインに与えた影響も計り知れない。某社の30年前のデザインはまんまじゃないか、と言わざるを得ない。

最後のコーナーに、ラムスがデザインした製品へのオマージュともいえるAppleや 深沢直人氏、ジャスパーモリソンがデザインした製品が展示されていることが、デザインという文化を創った功績を讃えているように思えた。

DVDで本人が語る内容の示唆はもちろん非常に興味深いが、ソットサスやサッパーらがディーター・ラムスを、そしてドイツデザインを語るコントラストと自己批判的なところがなんとも修行僧のようなラムスに対し、人間的で色彩があって面白かった。

この映像は1時間とちょっと長いけど、椅子に座って鑑賞することをお薦めします。

また、ミュージアムショップで販売されている800Pで4,000円する図録、これがまた大変な充実ぶりで、買って損はないと思う。

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