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2009年7月 4日 (土)

耐用年数

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家電製品はいつか故障し、使用できなくなる。
それはいつか?
ある日 突然それがやってくるモノもあれば、前兆があってやっぱり、というモノもある。
その時、愛着から捨てるのも惜しいとか、よく頑張ったね、とねぎらいつつ廃棄し買い替えるとか、あまりにも早すぎる故障にメーカーの信用を疑ったり、いろいろなケースがある。

そういえば、1980~90年代にはソニータイマーなんていう都市伝説のような風評もあった。保証期間が終了した直後に故障するよう、ソニーは、高い技術力で製品寿命をコントロールし、修理や買い換えの利益を得らるよう設計されているという比喩だ。

ちなみにソニーの名誉のためにも、私が買ったソニー製品のうち トリニトロンカラーテレビは19年(2年前に買い替えました)使用できたし、36年前に買ったラジオ(スカイセンサー5500)は、未だ現役です。

こんなことを書くのは、我が家にいくつかの事例が発生したから。

一つはトースター。蓋が手を離せば閉まるためにバネが仕込まれているのだが、そのバネが高熱で劣化が早まったらしく、わずか数年で断線した。ホームセンンターで買ってきた同寸法のバネで代用していたがこれも断線。本質的な機能の故障ではないのに、高熱にさらされる安価で小さな部品の耐久性がそれより劣ったために日常の使用に耐えられず、買い替えることになった。3000円の商品と言ってしまえばそれまでだし、海外での生産で、いろいろ事情もあるのだろうが、わずか数円の部品のための買い替えはもったないと思はざるを得ない。

その前のイタリア製のトースターも タイマー連動スイッチが数年で壊れたので買い替えたのに。

我が家のトースターの寿命は短く、毎朝使うから消耗品という感覚になってきている。
最近購入した無印良品のトースターは機能、値段 デザインともに気に入ってるので
ぜひ長持ちして欲しいのだが・・。

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私が学生時代は、エアコンなんて買えないから大学の生協で買った扇風機があった。
それから社会人になってから結婚してしばらくまで10年以上使っていた。
17年前に子供が生まれて、赤ちゃんが暑い夏を過ごすにはエアコンじゃなくて
またブンブンとちょっとうるさい扇風機ではなくて、そよそよとそよぐ扇風機がいいということで、買い替えた。
土台にリモコンが一体で収まるように付いていて、単調な強中弱の切り替えだけではなく「自然の風に近い風を送ります」という強弱のリズムを自動で繰り返すランダム運転が目玉だった。当時 1/f ゆらぎ なる理論が世間に普及し始めた頃だ。白とブルーが主流でいかにも白物家電といったデザインが主流だった中で、マットなグレー一色でシンプルで端正な佇まいも気に入っていた。

その扇風機は、以来我が家で実に16年以上活躍している。
7年目の夏、その扇風機に過ってタオルの端を巻き込んでしまい、羽根が破損。
羽根だけ部品交換で注文し、着荷までの間にあまりにも暑くてもう1台同シリーズを買い増した。で、今は9年目の扇風機と2台ある。

今夏の使用のため納戸から出して組み立てていて、9年目の扇風機の羽根にスピンドルにかませる部分がプラスティックの劣化で破損しているのを発見した。

本体はまだまだ使えるから羽根だけ部品交換したいのでネットで調べてみると、同じよう事例があって部品代に3千円くらいかかるかようなことを見つけた。新製品に買い替えられるくらいの値段だが、今時の扇風機は機能も耐久性もデザインも劣るのである。

サービスセンターは平日の昼間しか対応してくれないので、羽根だけ注文するといくらなのか量販店で調べてみたところ1500円との回答。一番破損しやすく、かつ交換部品としての注文が多い羽根として、新製品価格とのバランスからかなり適正に設定されていると感じた。

16年前の製品と9年前の製品でも、羽根の部分の設計は共通化されていた。
家電量販店で同じメーカーの現行品の扇風機を観察してみたら、目視ではほぼ同じ設計構造になっていたから、20年近く前の製品から現行製品まで部品を共通化していて、使用可能としているのだろう。力量のかかる部分の材料劣化速度が他の部品より早いのはは回避できないから、そういうことまで考慮しているのではないかと、かなりポジティブに解釈してみた。

メーカーのプラットフォーム設計、コスト、品質、部品在庫管理が合理的に実施されていている証で、さすが日本で最初に扇風機を製造、発売したメーカーとしての歴史とノウハウ、そしてプライドを感じる。
こういうところに消費者は信頼を寄せるべきなのである。
しかし、そうはいっても部品の材料代以上にアフターメンテナンスのためのコストがかかる事実は、新製品に買い替えた方が結局安い、という現実もある。

2007年の夏に、30年以上前に製造された扇風機を使用していた老夫婦が、経年劣化による発火で火災となり、犠牲者となる出る痛ましい事故が発生した。
これを教訓に今年の春から「改正消費生活用製品安全法(改正消安法)」が施行され、製品有効寿命の明確化が実現している。

いろいろ調べてみると、扇風機はだいたい15年の耐用年数で設計されているが、日本以外のコストの安い国で製造された製品では4年なんて言う表示もあるそうだ。これもユーザーニーズの結果のひとつなのだろう。

事故発生率を下げるのではなく,コストをかけてでも「社会に許容される安全」を確保した上で,信頼性向上とコスト削減の両方に取り組むというのが本道のはずだ。現場では「回り 道」のようにも思えるが,実際には製品安全における消費者との「契約」を順守し、信頼を築いて行くための結局は確実な道なのである。技術開発は,単に品質を上げる、機能を上げるということで信頼性を高めることにではなく,安全を確保した上で信頼性を高めることにあるのはいうまでもない。

日本のモノづくり、というのは、八百万(やおよろず)の神という、加工する精度や品質、ディティールにまで神が宿っている、という精神性を持っていることが強みだと思う。

それがまさに耐久性、アフターサービスの合理性に繋がる日本のメーカーの信頼性であり、商品企画、設計開発の良心のはずだ。

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