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2009年9月11日 (金)

世界一幸せな国

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同僚が会社を辞めて、半年間デンマークの国民学校で福祉を勉強してから独立するという。

デンマークといえば何を思い出すだろう。

アンデルセンの童話、ロイヤルコペンハーゲンのテーブルウエア、 プラスティックのブロック玩具 LEGO・・・。

デザイナーにしてみればFrits Hansen社のセブンチェアをはじめ、アルネ・ヤコブセン ハンス・ヴェグナー、ポール・ケアホルムなどの 巨匠をキラ星のごとく生み出した国。

我が家のリビングも、デンマーク家具のダイニングとテーブルウエアが、日々の生活に安らぎを与えてくれている。

そんなデンマークが、今や「世界一幸福な国」ランキング堂々の1位で大注目だ。
でも、ヨーロッパの地図を広げて、「ここ!」と指をさせる人はそう多くはいないだろう。

人口500万人の単一民族国家で、その頑なさは移民をも拒み、EUにあってユーロ通貨すら受け入れない。 それでもこのグローバルな時代に調和の取れた模範国として評価されているのだ。

「世界一幸福な国」ランキングの一つは2006年のイギリス・レスター大学の調査。幸福度マップでデンマークは1位だ。 医療費の無料制度、世界最高水準の国民1人当たり国内総生産(GDP)、 小学校から大学まで教育費がすべて無料かつ奨学金が支給される高い教育レベル、それによって 親も社会的に高い地位の仕事を持っている場合が多く、中・上流階級が再生産される仕組みなどが国民の総体的な幸福感を決定づけている、と報告書は結論づけている。なんとこの調査で日本は対象178カ国中90位。

もうひとつ、2006年夏に国際非営利調査機関「ワールド・バリューズ・サーベイ」が実施した調査。生き方の選択の自由、男女平等の推進、そしてマイノリティー(少数派)に対する寛容さにおいて、どの項目をとってもデンマークが1位だった。ちなみに日本は43位。

広い社会保障制度を維持するための消費税25%、所得税平均46%という高い税率と、積極的な富の再分配は、自由市場経済を信じる者には耐え難いだろう。日本人は、税金は、昔の年貢のように搾取されている、という思いや、富が公平に再配分されているという実感が湧かない、という歴史上の経験から、福祉と言えども負担は嫌だ、自分のことは自分でと貯金に精を出そう、と思う。個々の利権を競争する市場原理主義の社会ではなおさらだろう。出したら出した分、それ以上の得を求める。でもデンマークの人たちは、いろいろな形で還元される生活保障として、85%の人が高福祉・高税に満足しているのだそうだ。

決して億万長者にはなれないことが分かっていて、それでも何より大切なのは家族や、気軽に移動できる自由、経済の安定という シンプルなライフスタイルを選ぶ。 それでも社会での成功へのモチベーションを維持し、 経済成長を遂げながら国を機能させていることは、画期的じゃないか。平等が実現できて連帯感も生まれ、それぞれが助け合う、ということが実践されている社会のようだ。

いいところばかりじゃなくて、 「個」を重視する教育や「寛容」な国民性は、離婚率が高い、麻薬患者、エイズ患者の増加など当然問題も抱えている。

まあ、いくら研究して真似をしてもデンマークらしさは日本にすぐには当てはまらないと思うけど、そういうほんとうの民主主義と社会性を重んじた国が存在する、ということは知っておくべきでしょう。

デンマーク語の “hygge(ヒュッゲ)”がデンマーク人の考え方、感覚を良く表しているという。 デンマーク人はこの言葉は他言語に翻訳し難いが、あえていうなら 「家族の強い絆から生まれる暖かさとか優しさ、居心地のよさ、楽しさ」などを指しているのだそうだ。

「個」のつながりである「家族」の幸せの継続が 「社会」や「国」の仕組みを作っている、というシンプルな考えとすれば、 日本人の日本らしい仕組みだってそんなに変わらないののではないか。単一民族国家の日本だって目指せばできないことはないだろう、と思うのは私だけではあるまい。日本を住み良い国にしたい願うのなら、学ぶことも多いと思う。  

つい先日書店に並んだ新刊「世界一幸福な国 デンマークの暮らし方」(PHP新書)には、 アンデルセンの童話を引用しながら、その生活と背景、福祉や自律のあり方まで詳しい。

「デンマーク人にできて、日本人にできないことは、社会の相互保障だ」とある。「一人は個人。二人以上になると社会。デンマークでは二人いれば二人がお互いに保障し、社会を構成する人が増えれば増えただけお互いに保障し合う。けれど日本では市町村や国でやってくれないことは、自分で保障しようとする。病気をした時のため、教育のため、老後のため、貯金をする」 「みんなで税金として出し合い、必要な人に分配(富の再配分)すればよい」という考え方が日本とデンマークの大きな違いのようだ。そこには世界で初めて「教育の義務」を制度にし、一歩通行の知識の移転ではなく、「対話による相互作用」を教育の原点においた「自分の生き方は自分で決める」という共生や連帯感を育む考え方が底流にあるという。そもそも「福祉教育」という科目もないし、「死刑」もないそうだ。日本人のよくある「誰かがやってくれるだろう」「言っても変わらない」という蔓延した雰囲気を、「本当にこれでいいのかな」と考え行動に移す、社会通念だけにとらわれない自律した意志に少しずつでも変えていかないと、この先の社会を支えていけなくなるだろう。

いずれにせよ「世界一幸せな国」も160年かけての結果だ。

小泉改革の自由競争と自己責任が格差社会を広げて、安心・安全が薄れたこと、そして経済の失速で、誰もが今のままじゃあダメだと気づいている。

日本だって、「おもてなし」や「感性豊な」人々の国で、連帯や共生はできるはずだ。自分が社会のためにできることからやってみる、自分らしさ その人らしさをお互いに認めてみる、なんてことからみんなもう一度初めていいんじゃないかと。

自分の意識を再点検する、いい機会を同僚は与えてくれた。

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