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2010年6月19日 (土)

パイプオルガンの組み立て見学

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今日の午前中は組み立て中のパイプオルガンを見学する機会があった。
フランスのマルク・ガルニエ社製で、ガルニエ氏自身が解説、ガルニエジャポンの方が通訳する形で進行、最後に中を覗き込むことができた。ガルニエさん、フランス人なのに、解説は全てドイツ語だった。助手は息子さんと日本人の若い男性。

ガルニエ社製のパイプオルガンといえば、東京芸術劇場の巨大なコンサートオルガンが有名だ。こけら落としで聴いたシノーポリ指揮フィルハーモニア管弦楽団のマーラーの復活の演奏は、身体に震えが来て、自然に涙が流れ落ちる程感動した。最終楽章に響き渡った豊かで繊細なオルガンの音も忘れ得ることができない。

ガルニエ氏の丁寧でわかりやすい解説と、質疑応答によると、オルガンは500年の歴史があり、その間に設置される場所や環境に合わせ、様々な様式が生まれたそうだ。
コンサートホールに設置されたパイプオルガンは、オルガン作品を演奏するための仕様であり、教会や学校などに設置されるパイプオルガンは人々が歌を唄うための伴奏としての楽器なので異なるとのこと。さらに、ドイツで発展したプロテスタントの教会のためのオルガンは、コラールに相応しく観衆をリードする役目を担い、カトリックのオルガンはあくまで伴奏を担う楽器として、その役割も異なるため仕様が違うというお話。なるほど。

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今回見学したパイプオルガンは、プロテスタント系の学校の講堂に設置されたものなので、礼拝、賛美のための楽器だ。17〜18世紀のドイツの様式だそうだ。コンサート用ではないので、その頃の時代のドイツの作品を中心に演奏が可能とのこと。

パイプは鉛と錫の合金である。その数1500本。コンサートホール用の大型は5000本とか9000本とかの規模になるが、目的が異なるので十分だということがわかる。

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ガルニエさん、助手の二人に大きいパイプと最小のパイプを持ってこさせた。そして、上の画像の右端、パイプの細い穴に口をつけて息を吹き込むと、ぼーっと言う低音が響いた。右の助手の人の右手、お箸のように見える金属の棒が最小のパイプ。ガルニエさんが吹くとピーとい言う超高音がなった。

基本、パイプオルガンはリコーダーの集合体みたいなモノなのだ。

試しにと、すでにオルガンに組み込まれている最低音のC音が鳴らされた。その音は音階というより、ホール全体を揺るがすまさに空気振動。Cの♯と♭も聴かせてくれたが、その差はわからないほどのゴ〜という空振だった。

オルガンは建築空間とともに空気の振動を五感で浴びて感じる楽器だと実感。宗教的な意味合いで利用されるようになったのもうなずける。

オルガンの構造体としての組み立ては終わっており、6月からの3ヶ月間は1500本のパイプをこのように口で吹いて音を確かめ、本体に設置し空気を送り込んで音を出し、またはずして正しい音に調整して、という作業をひたすら繰り返しているのだという。整音作業というのだそうだ。学校なので、昼間は授業があるため、職人さん4人が二人ずつのチームになって夕方から早朝まで二交代制で作業に当たっており、今朝までの二人は今就寝中ですと。それはなかなかの作業だ。

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外観はもみの木と楢の木。彫刻部分は菩提樹に金箔。鍵盤はツゲの木だそうだ。

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鍵盤のすぐ裏側はこんな感じ。差し込まれる台座の穴の大きさから、まだ高音のパイプが入っていないことがよくわかる。これからひたすら整音作業を重ね、この場所も細いパイプでぎっしり詰まっていくといくのだ。背後の細いパイプは上の方への送風管。

ヨーロッパの教会では建造後500年なんていう現役の楽器もある。ビルダーが1台ごと環境にあわせて設計し、職人によって手作りで作り込まれ、現場で組み立てられるローテクだからこそだ。日本の近代建築に設置されたパイプオルガンの寿命は納まる建築物より遥かに長い。

メンテナンスは1年に1回の掃除と10年に1回のオーバーホールだそうだ。コンクリート建築の耐用が50年としたら、この楽器はどうなるのかと質問をしたら、一旦ばらして、新しく立て直した建築物にまた組み込めば、多少の部品交換をしながら数百年は持つでしょうと。

う〜〜ん、それは凄い。

そういう誕生の場に立ち会えたことに感謝。

9月になって、ぜひホールと一体になって奏でられる音色を身体で感じてみたい。

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