« 理工系分野の魅力のために | トップページ | あなたの答えを写真におさめよう »

2010年7月19日 (月)

多摩美の経験デザイン

Dscf8623_2

17日(土)は午前中の横浜から、午後は横浜線に乗って橋本(八王子)に移動。
多摩美のオープンキャンパウスを訪ねた。
八王子キャンパスには、9年前にプロダクトデザイン専攻の3年生との産学共同を首謀者として提案して、河口湖の合宿から東京国際フォーラムでの発表会まで数ヶ月間、毎週のように通った時期もあった。
最近では、伊東豊男氏設計の図書館を見学に来た2007年11月12日以来。
湾曲するガラスと壁面が面一で収まった正面のゆるやかなカーブと直角の全くない構造はは見所のひとつで、いつまで見ていても飽きない。 

Dscf8630

到着した13時30分過ぎ、寄り道したくなる図書館の仕掛けのひとつ、アーケードギャライーではちょうど客員教授である暦本さんの「実世界指向インターフェースの未来」という特別講義がが予定より遅れて始ったばかりの様子だった。
光と影の反復するアーチの下で、クッションに座ったり、壁にもたれて耳を傾ける若者達に興味を魅くトピックスとその試みが将来のためにどんな意味を持つのかというわかりやすいお話しをする姿は、伝道師のようにも 見えた。

Dscf8614

今日の目的の一つ、情報デザイン学科の「あそびのデザイン」のプロセスを実感するため、情報デザイン棟4階へ。

Dscf8602

まずは成果であるゲームで実際に遊んでみる。
「isla- 置いて、揃えて、ひっくり返す、変則四目並べ」の相手をしてくれた学生さんが手加減してくれたにもかかわらず惜敗。というよりショックを受けないよううまい具合に僅差になるよう配慮してくれたのに。。
ルールがやっとわかったからもう1回! とすっかり罠にはまりそうなのを冷静に、「で、このゲームの面白さを一言で表してみてよ」などといろいろインタビューに挑む、往生際の悪い大人(笑)

その前に、もう一つの「漢雀」チームの学生さんにも同じように、カリキュラムに沿ったプロセスのどこで何が起こって、どうしてここにたどり着いたのか、誰がこの案にどういう理由で絞ったのか、どこで何に気づいたのか、あそびの本質は楽しいだけじゃなくて、シンプルなルールとツールが何をもたらすか、またやってみたくなるのはなぜか、などを聴いてみていた。多分、プレゼンの内容にない、自分達も気づいていないことが多そうだったから。

そこに指導者である矢野先生と吉橋先生登場。
はい、そこからがとても面白い、興味深い話ができました。

デザインの現場ではプロダクトデザインを学んだ人がインターフェースデザインに移行したり、実務でサービスデザイン、エクスペリエンスデザインを担当していることが多い。要件定義や情報の構造化を経験則から合理的にできるからであろう。一方で情報デザインを学んで現場に入ってきた若いデザイナーも増えてきている。情報をデザインするということが、旧人と新人のお互いの間で、暗黙知を共通言語として語りあえると、そのギャップを埋めながら形式知化されたり、その現場での新たな知識創造のようなことが起こるんじゃないかと考えている。だから、経験豊かな人材がOJTで学ばせていくだけじゃなくて、現場での発想法の見直しや、ワークショプのような教育、指導を相互作用で学びあい、向上することも必要ではないかと最近特に感じている。

そういう観点で経験デザインの学びの本質を今日は考えた。身体で発想するということ。
お二人の先生の話からは、インハウスの創造性開発のヒントが一杯だった!
デザイン思考も大事だ が、スキルよりジャンプ力、発想力だ。
たぶんここで実践されている教育は、学んだ学生さん自身が社会に出て気づくのは何年後かなのだとおもう。
自分自身、学生時代にフィールドワークだの、統計解析だの 人間工学だの、材料特性だのを学びながら、デザインというのはもっと独創性や自分の感性を磨くことや、スケッチやレンダリング、造形力といった表現技術のほうが大事じゃないかなんて思っていた。途中から、まあ社会に出てからはできない、学生時代ならではのこと、歴史やそれまでに試行錯誤されてきた理論、地域や住民の参加型の合意形成などに興味を持ったり、研究しておこうなんてことはしたけど、そういう多様性を受け入れることや温故知新というアプローチは当時はよくわかっていなかったはずだ。それが今になってその意味がやっと結びついたり 役に立っている、いやいや学び直してるくらいだから。

Dscf8617
そしてこのあと、多摩美の看板学科であるプロダクトデザイン、グラフィックデザインのデザイン棟を覗いた。卒業生が子供を連れ来て、遊びながら学ばせている姿が微笑ましい。

それにしても、いややっぱ多摩美のアウトプットに対する責任、クオリティは凄いわ。進化している。

Dscf8616_2

モノやカタチの表現だけでなく、感心したのはプロダクトデザインの学生さんがみなすれ違うたびに誰にでも気持ちよく挨拶してくれること。これは10年前から変わらない。先生達の姿勢が学生に映されるここの歴史と伝統、強いDNAみたいなもんだな。コミュニケーションを図ることなしにデザインは成立しないことを躾とか礼儀作法とかじゃなくて、身体的に人と人の関わりを学ばせているのではないか。企業実習に来るここの学生さんに共通している、ムードメーカー的役割はこういう日常から育まれているのだろう。

プレゼンがうまい、ということはスキルではなく姿勢であるということまで考えさせられる。

失礼ながら試行錯誤を繰り返す新しい学科にはこれから育まれて行く何かなのかもしれない。たった一日のオープンキャンパスで何がわかるのか、と生意気な感想であることを承知の上であえてレフレクションと自戒を込めてここに書いておく。

Dscf8611

こういう環境で学べることはやはり強いな。
そういう良さがわかるのはそこから抜けだしたあとなんだろうけど。

まずは自ら扉を開けることが大事だ。

Dscf8619

|

« 理工系分野の魅力のために | トップページ | あなたの答えを写真におさめよう »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/166759/48903475

この記事へのトラックバック一覧です: 多摩美の経験デザイン:

« 理工系分野の魅力のために | トップページ | あなたの答えを写真におさめよう »