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2010年8月14日 (土)

知られざる創作の秘密

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マン・レイ展 知られざる創作の秘密 

2010年7月14日(水)〜9月13日(月) 10:00-18:00
※金曜日は20:00まで。入場はいずれも閉館の30分前まで

国立新美術館 企画展示室1E
入場料 1,500円(一般)、 1,200円(大学生)、 800円(高校生)

世の中お盆休みということで オフィス街や繁華街の飲食店はひっそりとしているのに 、六本木は観光客のそぞろ歩きで昼間からカジュアルな人がたくさん。
印象派好き日本人に大人気で土曜も開館時間延長となった国立新美術館の「オルセー美術館展」は連日長蛇の列をなしているそうだ。

昨夜は仕事を終えてから「マン・レイ展」を見てきた。
18時30分時点でオルセー美術館展は70分待ち、チケット売り場では見ないで帰るからお金を払い戻せと息巻いている女性もいたりしてちょっと騒然。すごい人気なんだとあらためてびっくり。
マン・レイ展の方はすいすい入場。
オルセー美術館展の絵画はパリに行けば見ることができるが(実際 私が行ったのは20年前だが。。) マン・レイの作品をこれだけ俯瞰できるのは唯一の機会なんだけどなあ。もったいない。。。

20時を過ぎてマンレイ展から出てきたら、まだ最後の集団が1階に並んでた。上からの階段はオルセー展から吐き出された人が数珠繋ぎ。閉館も8時45分まで延長しますとアナウンスされてたけど、ちょっとした狂想曲のようだ。オルセー美術館展に行かれる方は「リアルタイム混雑状況」やらを事前に確認して行くとよいでしょう。(ってあと二日でさらに混雑度は増すでしょうが)

今回のマン・レイ展は「2007年から欧州を巡回している展覧会にあらたに日本展だけに出品される作品約70点を追加して紹介。 マン・レイの生涯を「ニューヨーク(1890-1921)」、「パリ(1921-1940)」、「ロサンゼルス(1940-1951)」、「パリ(1951-1976)」の四つに区切り 、
広範で意欲的な創造活動、思考回路、そして歴史を追体験しながら、その作品と人生をより深く理解するまたとない機会」と開催案内にある。

本邦初公開となる晩年に取り組んだポラロイド写真や退色を防ぐための独自の色彩定着技法によるカラーポジフィルムによる作品も含めて、実に400点に及ぶ作品と映画3本が展示されているのだが閉館まで余裕でじっくり鑑賞。。。 金曜の夜は穴場です。

マン・レイ展に関してtwitter上で「#manrayten」をつけてつぶやくと 国立新美術館周辺に青いハート型の公式エアタグとしてセカイカメラに表示されるなんて仕掛けもあるそうで。 

入場してすぐ、「ニューヨーク(1890-1921)」のコーナーには、近年(といっても1976年)になり発見されたマン・レイ が自分の作品を写真に撮り、貼り付け 制作年や技法、素材等を詳細に記録していたインデックスカードが展示してあって、パラパラと実際にめくって筆跡や内容を見ることができる。(主に1913〜14年の作品) 本物はパリ、ポンピドーセンターに寄贈されているので、これはレプリカだったが、いきなりすごいぞ。
今回の展示会のいくつかの作品はこれらをもとに写真という複製技術を使って、かつての作品を再構築しているらしい。
ある意味 写真は音楽と同じ再現芸術であり、レシピ(楽譜)が残っているということだ。
アンセルアダムスが、「ネガは楽譜、プリントは演奏」と言う名言を残したが、まさに音楽に通じる芸術だ。

二番目のコーナー「パリ(1921-1940)」の作品、肖像写真群は圧巻だ。その頃にパリで活躍していたアーチストのほとんどをカメラに収めたといわれる。一瞬の表情をとらえる技術とそれを惹きだす能力が素晴らしい。サティやストラビンスキーの肖像写真まである。

そして特に晩年の「パリ(1951-1976)」時代とわせて、当時の先端技術である写真とアートを融合させた多彩な技法を試みた作品群は、 既成の概念を破壊し、新しい芸術を目指していたモダンアートの先駆者、表現者としての面目躍如である。
マン・レイの加工された写真は、リアリズムを追求する人たちからは違和感や批判もあっあっただろうが、 今ではPhotoshopで誰でも当たり前の画像処理につながる写真の新たな可能性を開いた。 しかし、彼はカメラを「人間の手が追いつくのを待っている」道具と呼び、「何を撮るべきかではなく、如何に撮るべきか」に拘ることを痛烈に批判していたようだ。モノクロからポラロイドへ、独自のカラー写真を創作したりという取り組みは、画家を目指していた自身が、生活の糧であった写真という表現におけるテクノロジーを追求することが、手を動かすことと同じように感じていたのかもしれない。 

タイトル通りの 名作を並べた通り一辺倒ではない、丁寧な構成であらためてその魅力をわかりやすく伝えるとても素晴らしい企画展示だった。やはり、写真にスポットはあたっていたけど。

写真が好きなら行くべし、見るべし。 まだあと1ヶ月やってます。
マン・レイの作品は女性の背中にバイオリンのf溝が描かれた写真(アングルのバイオリン)のポストカードがリビングに飾ってある。(画家のアングルはバイオリンも上手かったので、フランスでは芸術家の余技がプロの域に達していることを 「アングルのバイオリン」と例えるのだそうだ)
 しかし、知っているつもりで全く無知でしたね、マン・レイについて。

9月28日〜11月14日に大阪国立国際美術館へ巡回するそうです。
関西の方々も楽しめます、長蛇の列を作ることなく。

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