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2010年8月15日 (日)

ハ音記号の魅力再確認

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ト音記号、へ音記号は小学校の音楽で習うし、合唱やらピアノをやったことあれば大抵知っているが、さすがにハ音記号を知っている人は滅多にいない。
ハ音記号の楽譜はヴィオラとトロンボーンぐらい。(チェロやファゴットが高音になると登場するが) そもそもヴィオラという楽器を知る人もまた少ない。
ヴィオラというのは、オーケストラの内声部を受け持つ、バイオリンより一回り大きい弦楽器のことです。華々しい独奏曲やレパートリーも少ない楽器なので音も存在も地味。
音楽界にはアマにもプロにもヴィオラジョークというのがあって、ヴィオラの地味さを徹底的にバカにして楽しんでいるくらい。オケの労働組合の委員長は皆ビオラという都市伝説があるくらい縁の下から支えるのが好き。
6月のNHK「みんなの歌」で放送された
「ビオラは歌う」(作詞作曲:槇原敬之)が「優しい歌」だと評判になった(これもビオラの仲間だけだったのかなあ)。「ビオラが歌う」の最後は世の中に必要のない人はいない、っていうメッセージがビオラに託されていた。それくらい地味。

私は大学オケからそんな楽器を弾いています。

で、世界で活躍する日本人音楽家というと指揮者の小沢征爾さんとか、バイオリン、ピアノの世界的コンクール入賞者が話題になるのだが、ヴィオラだと日本人どころか世界的に活躍する人というのは数少ないというかまあ、ほとんど誰も知らない。
そのような中、2006年1月29日のTBS「情熱大陸」で放送されたのベルリン・フィルの首席ヴィオリストである清水直子さんが若手演奏会として一気に注目を集めてる。この番組の中で「ベルリン・フィルの宝物」と現在の首席指揮者であり芸術監督であるサイモン・ラトルに言わしめた。
ラトルは、ヴィオラのことをワインに例えて次のように話していた。
・ヴァイオリンはラベル ・チェロはボトル ・ヴィオラは中身
内声部であるヴィオラが入ることで音楽全体のリズムやハーモニーを成立させ、いわゆる味わいをこくするのである。

日本で清水直子さんの演奏を聴く機会は滅多にない。
2007年の1月に近所のフィリアホールで開催されたリサイタルツアーのチケットを購入ようとしたが、あっという間の完売だった。

昨夜そのリベンジ、待望のフィリアホール再登場のリサイタルを聴いてきた。 

会場のフィリアホールは青葉台東急百貨店の本館5階にある。
東急の多摩田園都市開発30周年記念事業として1993年にオープンしている。
オープンしたての頃、まだ幼い長女と一緒に ピーターと狼、サンサーンスの動物の謝肉祭を小さなオケで聴いた。親しみやすい規模ととんでもなくいい音響だと言う印象だった。音響設計はサントリーホールやカザルスホール、紀尾井ホールなどを手がけている永田音響設計だとあとで知った。

昨夜も500席がほぼ満席。フィリアホールでのシリーズを常連さんなのか中高年の男性やご夫婦が客席に多いという印象。ビオラのリサイタルなので通好みということか。作曲家の池辺さんもいらっしゃたり。
この時期、夏休み企画の子供に親しめる音楽会は多いが、演奏家も夏休みで本格的な演奏会はほとんど開催されていないので、音楽好きが集まっているのかもしれないし、アマ、プロ問わず、ビオラ弾きが多数集結している感じ。
私も待ち合わせもせずに学生時代からのビオラ仲間二人と偶然遭遇した。

今回の演奏会のプログラムはロマン派からコンテポラリーまで非常に多彩。
その聴きどころについて本人へのインタビューがこれまた興味深かった。

そして演奏そのものは、暖かく豊かな音色と真摯な姿勢は評判通り。弱音は特に美しく、はっきりとした発音と超絶で確かなテクニックとともに、プログラムそれぞれの曲のキャラクターの違いを鮮やかに弾きこなす多彩な表現力が圧倒的で、期待以上に素晴らしい内容だった。

帝王カラヤンが率いた世界最高峰のオケ「ベルリン・フィル」も、カラヤンのあとのアバド、そしてラトルが改革を進めてきたという。その大きな施策が若くて優秀なソリストを団員を迎えるという若返りであり、そのうちの一人が清水直子さんなのだそうだ。コンサートマスター試験中の樫本大進さんもそうなのだろう。21世紀の新生ベルリンフィルは、カラヤン時代の超高性能のスポーツカーを自由自在に操るド迫力の演奏から脱却し、しなやかで柔軟性に富んだ表現を手に入れたようだ。

今回の清水さんの演奏は、ご自身のスタイルと、ベルリンフィルの活動で手に入れたスタイルを融合し、新しい時代のベルリンフィルを象徴する演奏だったのかもしれない。

旦那さんでもあるのオズガー・アイディン氏のピアノとも息がぴったり。

キュートで女性としての魅力もたっぷりで、会場のファンを魅了した。

ミーハーな私は会場で販売されていた(店頭では在庫切れで手に入らなかった)CDを購入、持参した自分のブラームスのビオラソナタの楽譜にサインを書いていただいた。

演奏会終了後はビオラ仲間と妻と4人で夜遅くまでおしゃべり。もう至福の一時でした。

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