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2011年7月24日 (日)

写真を洗い祈る作業

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今日は東日本大震災の災害支援活動の一環として水や泥で汚れた写真プリント・アルバムを洗浄し、持ち主を探す活動を支援する“写真救済プロジェクト”の写真洗浄ボランティアに参加してきた。
プロジェクトでは約60か所の避難所などを社員が訪問し、物資の提供や洗浄指導を行ってきていて、各地で自治体やボランティアによ る写真洗浄が進んでいる。しかし一部の地域では、人員不足による作業の遅れから、未洗浄の写真が多く残っている上、時間の経過、温度上昇により劣化が進んでしまい、救済が難しくなってきている。
そこでプロジェクトの一つとして、未洗浄写真が多く残る自治体からその一部をお預かりして従業員とその家族、OBなどを対象として、6月下旬から約1ヶ月の間、1日定員60名のボランティを募集し、洗浄のお手伝いを行うことになった。
平日でもボランティア休暇を活用したり、仕事の都合により半日でも遅刻早退での参加OKなのだが、会場近くの研究所までは週に3〜4回行っていても、9時30分〜16時30分という時間帯ではなかなか時間が取れなかった。
妻や娘達も興味を持っていて、休日に家族での参加も考えていたが、なかなか都合があわず、やっと今日一人での参加となったのだった。

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自宅から2時間かけて会場の体育館に到着したのは集合時間の15分前。
仕事を一緒にしたことのある顔見知りのスタッフにご挨拶をしてから、前日分の写真洗浄されたあとに乾燥させてある救済された写真群を眺めてみた。
その数約6000枚。前日は台風の影響で参加できなかった人や涼しくなったこともあってか応募なしの飛び入りが30名以上やってきて、定員の60名を大幅に上回る100名が活動にいそしんだそうだ。スタッフも嬉しい悲鳴で、急遽設備を増設するなどの対応に追われたようだ。
洗濯バサミはさまれた1枚1枚の写真、そこに写っている風景、人物はもうそれこそかけがえのない思い出そのものだった。
始る前から目頭が熱くなる思い。

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9時30分を過ぎ、応募したメンバーのほとんどが集合すると、今日の参加が2回目以降のメンバーは早速乾燥させた写真の取り込みを、初回のメンバーはスタッフから諸注意や段取りの説明を受けた。メンバーは比較的若い世代が多い。単独、家族全員、ご夫婦、職場の仲良しなど様々。私の班は、大学生の娘さん息子さんと3人で参加の研究部門の方、中学生の息子さんと2人で参加のグループ会社の方、以前派遣で勤めていたのでという女性など8人。リーダーを決めてくださいというのでジャンケンをしたら一番負けた私がリーダーに。休憩などを適宜取るのが役割。

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スタッフが各班に配布した釜石と名取市閖上(ゆりあげ)地区からお預かりしたアルバムを一つづつ解体し、写真を1枚1枚アルバムから剥離し、丁寧に洗浄し、乾かして行く作業に入った。

アルバムは津波に襲われて流されたため湿気を帯び、泥で汚れている。解体すると潮の香りが漂い、海水に浸ったことが実感できるのである。

結婚式の様子を撮影した数十年前のアルバム、30年前のご夫婦での旅行を記録したアルバム、そして15年前の高校時代アルバム。写真館で撮影された六つ切りの成人式の記念撮影。。。。どれもその人にとって貴重な思い出を映像で切り取った大切なものばかりだ。

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残念ながら傷みがひどく、ほとんど画像が残らなくなってしまう写真も多い。が、披露宴の座席表、学生証などがアルバム間に挟んであったりして、持ち主の手がかかりになる文字や資料が見つかることもあり、そうするとメンバーからは、あったあった よかったよかったと少しでも持ち主に無事返すことができる可能性に出会ったことで笑顔が広がった。

元々何らかの思いがあってこの活動に参加しているのであるが、アルバムの主にみんなで思いを馳せ、声を掛け合いながら力とタイミングを合わせて作業をする班のメンバーに自然に一体感が生まれ、和気あいあいとした雰囲気になってくる。

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写真が生まれた故郷に戻ってきた写真達を再生して、また持ち主の元で戻してあげる活動だ。乾燥が終わった写真は元のアルバム単位にポケットアルバムに1枚ずつ入れ、ビニール袋でパックしてから現地に戻される。画像がほとんど残らなかった写真も残念写真として纏められて現地に送り、供養をするそうだ。

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我々の班の成果はアルバム10冊分、上の写真の洗濯バサミに挟まれた写真すべて。アルバムの状態も地域や年代で様々で、ほとんど無傷のページもあれば、傷みがひどいとほとんど救えなかったりするので冊数と洗浄した枚数は比例しない。

16時30分頃、活動が終わってスタッフから労いの言葉があると、メンバーから自然にお互いの労とスタッフへの感謝から拍手が起こった。

天井が高い体育館に空調はなく、梅雨明け後の猛暑は作業も厳しかったようだ。台風通過以降は過ごしやすい気候になって、今日もお昼頃には小雨がぱらつく程で涼しかったのが幸いだったこともあり、作業ははかどったようだ。

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今日1日ではボランティア60名で4000〜4500枚を洗浄、救済したそうだ。これまでの1ヶ月で13万枚を洗浄し、あと数日で16万枚を目標にしているとのこと。

作業が終わって、それぞれの班でご苦労様の挨拶とともに記念撮影があちこちではじまった。皆わずか5時間ながらもいろいろな思いをもった体験だったにちがいない。私も「シャッター押してくださ〜い」のリクエストにいくつもお応えする。

写真がそれぞれの人にとって、かけがえのない価値があり、非常に大切なものということが実感できたことは言うまでもない。時代を超えて普遍的な価値とは何なのか。

多くのことを考え、感じることができた機会を与えてくれたプロジェクトのスタッフに感謝したい。

ここでの活動は一旦終了するが、このノウハウを指導することで、現地のボラティアをはじめ、全国各地に広がっているそうだ。ぜひ、お近くであれば、参加してみてはどうでしょうか。

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