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2012年5月 2日 (水)

「歓喜」という名の梵鐘

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名古屋の帰省から横浜に戻る前に、妻が「見てみたい」というので訪ねたところがある。
名古屋市北区の久国寺にある岡本太郎作の梵鐘「歓喜」だ。

岡本太郎の名前が世間一般に一躍知られるようになったのは、何といっても大阪万博の太陽の塔。「芸術は爆発だ!」とうなるテレビCM。この鐘は大阪万博の5年前、1965(昭和40)年の制作との事。そう、「芸術は爆発だ!」といってテレビCMで岡本氏が鳴らしていた鐘はこの「歓喜」のミニチュアだったのだ。こんな貴重な梵鐘が名古屋にあると知ったのは実は最近。
青山の元岡本太郎のアトリエは記念館になっていて、私はその前を20年くらいの間、ほとんど毎日通勤時には通っていたので、庭から垣間みる彫刻はもう日常だったのに。
昨年は太郎生誕100周年ということで、様々な企画展、テレビドラマ、出版であらためて触れる機会が多かった。青山の岡本太郎記念館の企画展を妻と訪ねた時、庭の軒先にこの梵鐘のミニチュアが下がっていて、音をならしてみた。。
「鐘の音は鐘の音であってはいけない。森羅万象の叫び声でなければならない。つまりそれは音ではなく精神でありたい」。
このオリジナル、名古屋にあるって。。それじゃあ一度見てみたいなあって。

岡本太郎に「歓喜」はひとつのキーワードだ。
知と情熱の猛烈なインスピレーションをそれこそ爆発させて、時代の最先端で多彩な活躍をした希代の芸術家だ。幸福ではなく歓喜。真の幸福は歓喜、瞬間瞬間に死と対決するのが歓喜、だという。それは他人からの応答があって喜びは初めて歓喜になる、自己の内面と向かい合ってこそ他人との関係性を築くことや、モノや表層的な幸福を目標とするのではなく、未来の創造に繋がる生命力のような輝き。岡本太郎はずっと「歓喜」を目指せと訴えていた。

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ご対面です。
大型連休に見に来る奇特な観光客は我が家族くらいです。はい。
貸し切りで堪能。
梵鐘の全体像は上の画像の様な感じです。
解説によると、「独創的な形をした圧倒的な存在感がる鐘は、マンダラをイメージしており、上部には無数の角のように腕を突き出した人間、下部には瞑想する仏、動物や魚、妖怪など森羅万象が表現されている。」「鐘をつけば、角が共鳴し複雑な余韻がいつまでも鳴り響くそう。除夜の鐘で鐘の音が聴ける。」そうです。
角(ツノ)の様なトゲは描かれた人の腕が突き出たようになっている。
音を確かめてみたい心境にかられるが我慢。大晦日に並ぶ先着108人に入れば自ら撞いて音を出すことができるらしいが、今の時代YouTubeで聴けるから便利になったもんだ。

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場所は名古屋城の北北西、車でわずか5分程の北区大杉という場所。この辺り、住宅街で特に特徴もないので、子供の頃全く縁がなく来た事がなかった。

久国寺は徳川家康に繋がりがり、名古屋城の鬼門除けの場所に建立された350年の歴史を有する由緒あるお寺らしい。でも建物は結構新しくて、平成17年にも改築したばかりらしい。

名古屋は日本において昔から航空機産業の中心で、今のナゴヤドームのある辺りは三菱重工のエンジン工場があり、アメリカから徹底的な空襲を受けたため、名古屋城を始め、東区から北区のあたり一帯は戦時中にほとんどが焼失してしまい、古い建物は何も残ってはず。要はたいていが戦後の建物だ。

当時の住職は「昭和の時代にあった梵鐘を」ということで知り合いを通じて岡本太郎に梵鐘制作を依頼したらしいのですが、ちょうど創建300年、戦後20年、高度経済成長の中で、次世代に繋げる新しい象徴や方向を目指したかったのかもしれないな、と思いを馳せたのでした。

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