2010年11月21日 (日)

麹町を時間旅行する

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江戸が開府されてすぐの1607年に今の地に遷座された平河天満宮。
そこの狛犬だ。変わりゆく江戸の街を見つめて150年、そのままの姿をとどめている。

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昨日は「コミュニケーションデザイン研究会(情報デザインフォーラム分科会)」主催の「インフォグラフィックス ワークショップ3」に講師・オブザーバーとして参加してきた。

朝8時30分、半蔵門の改札をでたところで、主宰者の木村さんと偶然バッタリ、そして一緒に入ったスタバに偶然上平先生も入ってきて、事前の打ち合わせからその日は始った。

定員20名に対し、応募の出足は鈍く、学生さんも様々なイベントが重なったことや、事前の下調べが必要というハードルが高かったらしく、応募は少なかった。そんな心配は後で全くの杞憂に過ぎなかったとわかる。
定刻の9時30分にはほぼ全員が揃い、ワークショップはいよいスタート。木村さんがカンタンなオリエンと講義をしている間に参加者の宿題に全て目を通し、グループ分けを実施。
すでにユニークで明確な切り口を設定している人から街の歴史をぼんやりつかんだまでの人まで様々。その方向性や社会人、学生、男女、職業などを考慮して4つのグループに分けた。そこに講師陣も入って、1グループ5名づつのチームができた。
それぞれに事前が調べてきた視点や仮説を披露、その仮説検証のために11時にはフィールドワークに出かけた。ここまでで1時間30分。
要は休日の一日、事前にオタクになるほどの下調べをやってまで自ら楽しんで学ぼうというモチベーションのある方々が集まった時の雰囲気、エネルギーがいかに相乗効果が高くなるか、ということを実感することになった。
当然、手弁当で参加している講師陣の質問やアドバイスもそれぞれに的確で、自身も互いに学び合い、参加者から刺激をもらい楽しんでいる様子がさらに雰囲気を高める。
昼食を挟んだフィールドワークを終え、戻ってからリフレクションをし、シャッフルディスカッションの変形版をはじめる。これが一人約5分で14時〜15時の1時間。
実際のビジュアルの製作は15時から16時10分の僅か1時間10分。
切り口、材料、整理、優先順位、そぎ落とし、シンプルでキャッチーな表現、レイアウトまでを凝縮。手が動く動く。今回は、前回の教訓を生かしてグループワークではなく一人1枚のビジュアル製作ということにしたことで、合意形成より自分の考えを整理し、纏めることに集中できたことがよかったようだ。社会人も学生も、デザイン業のひともそうでない人も一線に並んだ。
16時15分。会場にずらりと並んだインフォメーショングラフィックスの成果とその痕跡は圧巻だった。全員でお互いの作品を20分間程眺めあい、一人一票の投票。
16時40分、その結果をもとにプレゼンと講評会。笑顔が広がる。票を集めたのはこのワークショプ2回目の参加の方でした。前回の教訓を生かした前準備の周到さと実際のワークショップでの現地の人へのインタビュー、そしてグループメンバーからの意見を受容しての再整理と再構成。さすがでした。18時20分終了。
すばらしい充実感とともに参加者全員が懇親会場へ移動。

参加者の皆さん、講師の方々 大変お疲れさまでした。
とても楽しく、充実した時間をありがとうございました。すばらしいロケーションと雰囲気の会場をご提供いただいたことにも感謝です。

そして麹町という街にとっても愛着がわきました。

ここでは経緯だけをまず書きした。
あらためてまとめたいと思います。

昨年の「インフォグラフィックス ワークショップ2」はTDWの直後で体力がついていかず、懇親会に参加できなかったので今年は万全で臨んで、しっかり2次会までついていきましたとさ。いろんな方々とまた出会えてああ楽しかった。

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浅野先生のブログ 制作・講評編

浅野先生のブログ フィールドワーク編

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インフォグラフィックスワークショップにいってきました

人を引きつける!伝わるインフォグラフィックスを作るコツ

 

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2010年9月 1日 (水)

イノベーション思考のメソドロジー?

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i.school 夏のシンポジウム
「イノベーション思考にメソドロジーは可能か?」

Is innovation methodology possible?
Ziba × Stanford d.school × 東京大学i.school

8月28日(土) 9:30−12:30  東京大学情報学環 福武ホール

どなたでも参加いただけます、とあったので申し込んだ。
人間中心のイノベーションについて 、ビジネスサイドとアカデミックサイド双方から注目のメンバーの議論が無料で聴講できるというこの上ない機会。

先週は毎晩遅かったのだが土曜の朝も平日のごとく起きて本郷に向かった。
ものすごく暑かった。
地下鉄の東大前駅からレンガ塀沿いに歩いてキャンパス内にはいってみたものの、スタバはまだ開店していないし、ペットボトルを自販機が見当たらない、さらに校舎も鍵がかかっていて入れない。 不案内な校内をうろうろしたあげく、しかたなくキャンパスを出て通りの向こうのコンビニでお茶を買い込んで戻る羽目に。すでに汗だく。

安藤忠雄建築の福武ホールの佇まいは 高くて長い庇が凛としていた。
以前のセミナーでは softbankのアンテナがたたず、iPhoneでつぶやけないよ、と聞いていた。 が、改良されたらしくアンテナは5本立ち、WiFi環境も提供されて快適な通信環境が整備されていた。

シンポジウムが始る頃には150席ほぼ満席。
i.school受講中の学生さんが多いのはもちろんだが、知り合いもちらほら。隣が偶然K社のSさんだったり。。。

冒頭に田村さんから i.schoolの解説。
「i.schoolのイノベーションは技術革新ではない。 論理思考を超えた思考の羽ばたき、それを再現する試み」だと。

はじめに Ziba designの濱口さんのプレゼンテーション。
これがなんとも明快、魅力的。非常に頭の中が整理でき、そして自分の取り組む姿勢をリフレクションしてみたい、またぜひ実践してみよう、というモチベーションンのあがる内容満載だった。

最初の問いかけ。

「イノベーションは天才にしかおこすことができないのか?」
Yes/No  → No

最初に今日の結論を言ってしまおう。

1.イノベーションのメソドロジーは存在するのか?
  →存在しない

2.そもそもイノベーションとは何か?
  →定義できない

3.ところでアンタ誰や?
  →詐欺師

この答えは パネルディスカッションや最後の質疑応答の中で明らかにしている。

エスノグラフィーというものは、 不確実なものに対する開発側からの歩み寄りだ、との発言。

なぜなら 経営というのは、「ナンボ儲かるか?」「何回も成功を起こしたい!」 という、リスクに対し確実性を求めるものだ、という前提があるから。
提案をすれば、「その提案を 当たりにしてくれ!」
当たりそうなことに納得すると「大きくしてくれ!」と来る。

その溝を埋めるため、経営者に賢くなってもらうため、「物語を作り」「気持ちよくだます」、
だから詐欺師。 
それが 「予期していなかったことを発見するため」のエスノグラフィーであり、複数でshiftを考えていくことだと。

比喩としてはオープンなジャングルジムと表現していた。
(ジャングルジムで遊んだことない若い学生さんも多かったようで、会場は?って感じだったけど)

濱口さんのプレゼンの話にもどろう。

イノベーションを感じる基準とは?
→ 明日の非連続点
→ shift

イノベーションの見分け方
1.見たこときいたことがない
2.与えられた時間内に実現可能
3.議論を生む(反対vs賛成)

・見たこときいたことがない
・与えられた時間内に実現可能 
このトレードオフから外れたものがイノベーション

このshiftを実現するために、問題解決のフレームワークではなく、作り手と受け手がどう認識しているかを破壊するための 「目的」「範囲」「切り口」のフレームワークをプロジェクトの最後まで循環し続けることがイノベーションを生み出すプロトコルだと。
ここでは非常にわかりやすいアイコンで図で示されていたのだが、それは会場で聴いた人だけの権利。

そのためには1.常にモードをモニターし  2.マネージメントを怠らず  3.バランスと時間配分に注意するか が重要。

しかし、コンセプト1に対し、100の戦略のための時間、そして1000の実現するための時間が必要だとも。

明快だ、リアルだ。 実践的だ。
真似してできるものではないが、説得力があり、 経験者には手触りのある納得感がある。

学生さんにはわかりやすく 「自転車に乗れるようになるコツ」と例えていた。

自転車にのるには

・自転車の知識
・バランスのとり方
・力学の知識

そんなものいくら勉強したって自転車に乗れない。

必要なのは

・行きたい方向を見る
・スピードを出す
・2〜3回転げる

まあ他にも面白い話はたくさん聴けたのだが、これくらい。

次に Stanford d.schoolのshanks教授から問題提議。

そして紺野教授 堀井教授が加わってのパネルディスカッション。

ここで紺野先生が相変わらずの切れ味でバサバサ。

イノベーションにメソッドはない。
濱口さんはメソドロジーもないとおしゃったが、プロトコルはまさに、メソドロジーですよと。

イノベーションは人々の何らかの知識が革新されることと私は定義している。

MBAのような一元的マインドセット=決定論的、コアコンピタンスはイノベーションの障害。
だからデザインが必要なバックグランドはここにあると。

これまでは会社のなかにカオスを持ち込むと怒られた。
今はイノベーションのためにカオスが必要。
(ここでニヤニヤ苦笑いして、うなずくのはビジネスマンばかり)

Humane-Centeredを、エルゴノミクス/ユーザビリティ/エスノグラフィといった「観察と非観察」と、 個別で見るのではなく「いかに生きるか」という社会的見方の2つある、とシンプルに指摘していた。

非決定論的なコラボレーションのオープンな構造化を目指すべき というのがまとめだったと思う。

猛暑の土曜の朝から、濃い内容のシンポジウムに参加できて 熱さは増した訳です。

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2010年1月15日 (金)

The Last Farewell

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AXIS フォーラム 石井 裕(MITメディアラボ副所長・教授)講演会
テーマ「永訣の朝・身体の痕跡・ポストタンジブルビット」を聴いてきた。

12月17日にAXIS jiku のWebとAXISからのeメールで告知がされてから、約1週間で100名の定員が埋まったようだ。
同僚4人が申し込んでいて、1名が出遅れて選に漏れた。

今日の講演内容は、Twitterの#axisに参加者などの感想と安藤日記さんのブログにすでに詳しくアップされています。

終了後、会場ではMITのオープンセミナーで聴いた内容と同じだった、と話す人もいましたが、機関銃のようにウイットに富むユーモアとともに飛び出すコトバの洪水は、私にとっては果てしなく深い示唆の数々で、ワクワクした感動が止まらないあっという間の90分だった。

テレビや雑誌で見聞きする石井さんは大きく見えるが、実際はどこにこの溢れんばかりのエネルギーがあるのかという程 小柄な方だった。しかし、世界のトップセールスマンは、満員のオーディエンスと自身をつなぐように体験の問いに挙手で応えるというシンプルなインタラクティブを繰り返しながら、ぐいぐいと魅き込んで行ってしまったのだ。

まさにタンジブルな体験。ライブでしか得られない空気感、高揚感、共有体験だったと思う。

印象に残ったフレーズや場面。

冒頭 「今日のオーディエンスは、いつものサイエンティストでなく、 ほんとどがデザイン関係なので、クリエティビティとユーティリティとプラクティカルに富んでいて一番怖い」と持ち上げながら 、途中「人間中心とか、ユーザーの観察からだけでは単ある改良は進んでも、新しいことは何も生まれない」と現状のビジネスやデザインのアプローチを皮肉りつつ、本質的な使命を問い、鼓舞する場面は流石だった。

「永訣の朝」という宮沢賢治の作品の直筆原稿を画面いっぱいに映し出し、その筆跡からから伝わる作者の人となり、心境の話からタンジブルへと導いたり、母親への感謝の気持ちとして捧げた作品の紹介や、ご自身のまだ小さなお嬢さんの写真を織り交ぜたりする時の表情は、ヒューマニズムを大切にしたロマンティストの顔だった。

質問や自身の体験談の中に、しっかりファンドレージング(資金調達)の意味や資本主義におけるアカデミックの役割も織り込んで、ここでもウイットにとんだユーモアで嫌味にならないところがすごい。

 

協創 Arts&Design + Science&Technology

世界はメタファーに満ちている。私に語りかけている。
そこから新しいメタフォリかるなジャンプが生まれる。

一番大事なのは問。
本質的問いを発し続けること。
そこに飛び込むことが独創的研究。 
何故を続ければ哲学になる。

私に残された時間は少ない(まだ54歳なんだけど)、
2200年の未来の人達に何を残せるか、自分がいなくなっても残る確かなもを見つけるためには何もない原野を全力疾走し続けて行く。

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講演会終了後、懇親会場には対話とサインを求める人の長い列ができた。
一人一人の質問に丁寧に示唆の飛んだメッセージで応えながらサインと握手をする姿がまたエネルギッシュだ。
同僚と4人で30分並んで、一人一人の自己紹介をしながサインをいただく。これまた一人一人に的確なメッセージや示唆が返ってくるのに驚いていると、そうじゃなきゃMITではタコになってしまって生きて行けないですよ、と笑いながら、じゃあ、一緒に写真を撮りましょうというサービスもそつがない。

一期一会。

自分の今やっていることと、生き方、これからやるべきこと。
私も走って行くことにしよう。
そう思える一夜だった。

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